【5月21日 AFP】米ハワイ州当局は21日、ハワイ(Hawaii)島のキラウエア(Kilauea)火山から噴出した溶岩が太平洋岸に達し、「レイズ」と呼ばれる危険な煙が発生しているとして警告を発した。

 米地質調査所(USGS)は20日、2つの溶岩流が「一晩のうちに(ハワイ島)南東部プナ(Puna)地区沿岸の海に到達した」と発表した。

 高温の溶岩が水に接触すると、「レイズ」と呼ばれる酸性の煙が発生する。USGSによると「この煙は塩酸ガスと蒸気、さらに火山性のガラス微粒子が混ざったもので非常に刺激が強い」という。さらに「2000年の噴火の際には溶岩が海に達し、海水と接触してまもなく、熱い腐食性ガスの混合物により隣接地域で2人が死亡している」とUSGSは警告している。

 また弱い風が吹いているため、キラウエア火山の風下の地域では噴出物が酸素や水分、ちり、日光などに反応した結果生じる「ボッグ」と呼ばれる火山性スモッグがさまざまな水準で現れる可能性があるという。

 現地報道によると、巨大な溶岩流の一つは高さ6メートルにも達し、ハイウエー137号の一部を遮断し、近隣住民に深刻な影響を与えている。

 今回のキラウエア火山の噴火は今月3日に始まり、これまでに住民約2000人が避難している。科学者らは今回の噴火が1920年代半ばに起きたものと同様の大噴火の予兆である可能性を指摘している。ただし、同火山が位置する島の南東部地域はもともと人口が少なく、最も危険度の高い住宅地での避難も終わっているため、人命に関わる被害は生じないだろうと述べている。(c)AFP