【5月17日 AFP】西アフリカのマリで、先天性色素欠乏症(アルビノ)の女児(5)が武装集団に拉致され、首を切断された遺体で見つかる事件が起きた。頭部を呪術に使うため殺害されたとみられている。

 警察によると、ジェネバ・ディアッラ(Djeneba Diarra)ちゃんがさらわれたのは13日午前2時ごろ。首都バマコの北方125キロにある村ファナ(Fana)の自宅の中庭で、母親や妹と一緒に寝ていたときに武装集団に襲われた。

 母親はジェネバちゃんを抱えて中庭を囲む壁を乗り越えようとする男たちを追いかけようとしたが、次女もアルビノなことから、引き返して次女を守ったという。

「みんなであちこち探し回った。モスクのそばで(ジェネバちゃんの)遺体を発見したが、頭がなかった」と、村で教師をしているウマル・ディアキテ(Oumar Diakite)さんは語った。

 複数の証言によると、ファナでは治安の悪さが事件の背景にあるとして怒った住民らが地元の憲兵隊本部を襲撃し、建物の一部を焼いたという。

「選挙があるたび、私たちは儀式のいけにえを求める人々の餌食にされる」。西アフリカのアルビノの人々を支援する団体FAPAOのママドゥ・シッソコ(Mamadou Sissoko)氏は、アルビノを狙った犯罪と政治的な動きに関連があると指摘し、マリでは7月29日に大統領選が行われることに言及。「正義の実現を求める」と述べ、国が責任を取る必要があるとの見方を示した。

 アフリカでは西アフリカ諸国のほかマラウィ、モザンビーク、タンザニア、ジンバブエなどでアルビノの人々に対する偏見がまん延していると同時に、アルビノの体の部位が富や成功、幸運をもたらすと信じられており、呪術目的の「アルビノ狩り」で年間数十人が犠牲になっている。(c)AFP