【5月16日 AFP】香港の民主活動家らが、自分たちのメッセージを伝えるべく、共産党政権を打ち立てた毛沢東(Mao Zedong)の言葉を用いるという奇策に打って出た。

 半自治権を有する香港では、中国政府によって自由が脅威にさらされているとの懸念が高まっている、そうした中、毛沢東が民主主義への支持を称した発言を引用する2枚の横断幕が、香港にある中国政府の出先機関の事務所に近い道路のガードレールに掲げられた。

 赤い横断幕には、毛沢東による「皖南(かんなん)事変のために発表された命令と談話(Order and Conversation on the Southern Anhui Incident)」から引用された「一党専政廃止」「民主政治実行」との言葉が、黄色の文字で大書されている。1941年の皖南事変では、共産党軍が国民党軍の攻撃を受けていた。

 政権の座に就く1949年以前、毛沢東は民衆の支持を駆り立てるために「民主主義」という言葉を使用していたが、実権を握ると一党支配を確立した。

 香港立法会(議会)の議員は任期中、横断幕を掲げるスペースがくじによって配分される。そして民主派の議員である区諾軒(Au Ngok-hin)氏には出先機関のある場所が割り当てられた。

 区氏の選挙運動のコーディネーターを務め、横断幕を製作したサム・イップ(Sam Yip)氏はAFPに対し、「区と私は出先機関の事務所職員に、これは中国が繁栄し、強くなる方法であること、また毛沢東がそう言ったことを思い出してほしかった」と話した。(c)AFP