【6月2日 AFP】中国南部の深セン(Shenzhen)にある高層ビルの一室で、技術者やコンピュータープログラマー、そして子どもたちが、自作のラジコンカーやロボットアームなどをいじっている──。彼らは、深センがコピー製品の製造拠点であるとの悪評をひっくり返す上でカギとなる「中国版モノづくり」に携わる人々だ。

 独自の機器や装置をゼロから発明、設計、製作しているこうした人々が作業するこの高層ビル内に設けられた施設は、同市のモノづくりにおける中枢とみなされている。

 コピー製品の中心地という汚名を払拭(ふっしょく)しようとしている中国は現在、米国との貿易摩擦状態にある。米国は中国による知的財産侵害を理由に、中国製の電子機器やその他ハイエンド分野に対する関税引き上げをちらつかせて脅しをかけている。

 深セン市当局は、数千人の中国人および海外の企業家を呼び込むために1億4500万ドル(約160億円)の補助金を出すとともに、モノづくりのための施設や(技術)革新の促進を目指す活動にさらに数千万ドルを出資している。

「MGスペース(MG Space)」はこうした施設の一つ。壁に設けられた棚には、細かく分類された容器がズラリと並んでおり、それぞれに木片や発泡材、回路基板、電線、はんだ、プラスチック部品や接合部品などが入っている。利用者らはこれらを自由に使うことができる。

 ある11歳の少年はAFPの取材に「重いものを支えられる滑車装置を設計している」とコンピューターの3Dモデリングプログラムから目を離さずに答えた。こうした設計データは、3Dプリンターやレーザーカッターを使って実際に形作られる。

 民間出資である同施設の副責任者ユ・リンユさんは、子どもや若者らと専門家がプロジェクトに共同で取り組む機会を与えることは重要だとし、「ここでは指導する側は子どもたちを生徒としてみていない。彼らはお互いを同僚としてみている」と話した。