【5月15日 AFP】サッカーペルー代表の主将を務めるパオロ・ゲレーロ(Paolo Guerrero)は14日、スポーツ仲裁裁判所(CAS)の裁定で薬物違反による出場停止処分の期間が14か月に引き延ばされた。これによって同選手は2019年1月まで資格停止処分となり、W杯ロシア大会(2018 World Cup)への出場が不可能になった。

 カンピオナート・ブラジレイロ(ブラジル全国選手権)1部のフラメンゴ(Flamengo)でプレーするゲレーロは、国際サッカー連盟(FIFA)から暫定的に下されていた6か月間の出場停止処分が今月上旬に解除されたことを受け、13日に発表されたペルー代表の予備登録メンバーに名を連ねていた。

 しかしながら、ゲレーロは世界反ドーピング機関(WADA)の禁止薬物に指定されているコカイン代謝物質のベンゾイルエクゴニン(benzoylecgonine)に微量の陽性反応を示したことによる処分の完全な取り消しを求め、CASの聴聞会に出席して一週間も経過しないうちに反ドーピング規則違反が確定したとして処分が延長された。

 CASは発表で、「ゲレーロ氏の出場停止処分を6か月から14か月に延長することを決定した。すでに暫定処分として過ごした6か月を除き、本日(14日)から残りの期間を資格停止処分とする。CASのパネルは、ゲレーロ氏がADRV(反ドーピング規則違反)に抵触したことを確認する一方で、同氏が運動能力を向上させるために意図的に禁止薬物を摂取していたものではないということも承認した」と述べた。

「しかしながら、当該選手にはある程度の過失と不注意に関する責任があった。今回の違反は悪質なものではなかったにせよ、ADRVを防ぐための何らかの方法を取ることは可能であったと思われる。それらを考慮した上で、重大な過失や不注意であることが認められなかったケースとして、FIFA規則に従って1年から2年の出場停止は免れない。CASパネルとしては、ゲレーロ氏による過失の程度を踏まえて14か月間が妥当であると判断した」

 ペルー代表として象徴的存在であるゲレーロは、昨年10月5日に行われたアルゼンチンとのW杯南米予選後の検査で微量の禁止薬物が検出されたため、当初1年間の出場停止処分が科されていた。しかし、同12月にFIFAが処分期間を今月3日までの6か月に短縮したことを受け、同選手は来月14日から7月15日までロシアで開催されるW杯に出場することが可能となっていたものの、処分の完全な取り消しを訴えていた。

 ゲレーロは前週、弁護士を伴ってCASの聴聞会に出席した際、旗を持った支援者やサポーターら30人から「頑張れ、パウロ!」と声援を受けていた。しかし、WADAも事実上の敵対措置として、当初科していた制裁の正当性をCASに訴えていた。

 CASによると、「当該選手とWADAの双方から上訴があった。パオロ・ゲレーロ氏は、FIFAの裁定を覆して処分なしという新しい決定が下されることを模索していた。その一方で、WADAもFIFAの裁定に不服を訴え、パオロ・ゲレーロ氏の資格停止処分は1年から2年が妥当であり、22か月が望ましいとしていた。双方の仲裁手続きはCASによって一元化されて同じ仲裁パネルが担当し、2018年5月3日にスイス・ローザンヌのCAS本部で双方のヒアリングが行われた」とされている。(c)AFP