■「真の解決法」は…

 会計士で3人の子どもの母親であるバトバヤル・ムングントゥール(Batbayar Munguntuul)さん(34)は、妊娠中に酸素カクテルを飲んでいたが、その結果、医薬品への出費がかさんでしまったという。

 AFPの取材に応じたムングントゥールさんは「毎年冬になると、しょっちゅう薬を買っています」「その金額が、日々買わなければならない食費と同じくらいになってしまいました」と語った。

 そこで彼女は、他の多くのモンゴル人と同様、家族が自宅できれいな空気を吸えるようにと空気清浄機の購入を決めた。有毒ガスをフィルターで除去するこの装置は300ドル(約3万3000円)したという。

 モンゴルにおける昨年の微小粒子状物質(PM2.5)濃度の1日あたりの平均値は、1立方メートル当たり75マイクログラムで、WHOが推奨する安全基準値の3倍だった。大気汚染は、ぜんそくや気管支炎、その他の長期にわたる呼吸器疾患と関連性がある。

 モンゴル人の中には、「エンクジン(Enkhjin)」「イヘタイガ(Ikh Taiga)」「ドクター・バートル(Dr. Baatar)」といった、肺の洗浄効果をうたった特別なお茶を飲んでいる人々もいる。

 ドクター・バートルの最高経営責任者(CEO)、バートル・チャンツァルドュラム(Baatar Chantsaldulam)氏はAFPの取材に対し、大気汚染が最大になりがちな冬季には販売数が20~30%増加すると語った。「(当社のお茶は)血液からすべての毒素を除去した後、肺の中の毒素を粘液に変える作用があります。使用しているすべての植物性原料に、人の免疫システムを増強する効果があります」

 しかしWHOのマリア・ネイラ(Maria Neira)公衆衛生・環境局長は、肺や循環器系を守るための「真の解決法」は大気汚染を減らし、汚染された空気を吸わないことだと指摘する。

 同氏は酸素カクテルやラングティーに言及しながら、「ビジネス業界は独自の解決法を多数提供するつもりでいる」が、「その効果の有無については科学的に立証されていない」と述べている。(c)AFP/Anand Tumurtogoo