【5月11日 AFP】米政府が、地球温暖化の原因となる主要な温室効果ガスである炭素とメタンを観測する米航空宇宙局(NASA)の事業をひそかに打ち切っていたことが分かった。米科学誌サイエンス(Science)が10日、明らかにした。

 サイエンスによると、NASAの炭素観測システム「CMS」は地球の炭素の発生源とたまっている地点を観測し、炭素の流れの高解像度モデルを作成するもの。年間1000万ドル(約11億円)の予算が割り当てられていた。

 NASAは打ち切りの理由について、「予算上の制約と科学予算内の優先順位の問題」とだけ同誌に回答した。

 既に割り当てられている予算は使い切ることができるが、新たな研究への支援は行われないという。

 AFPはNASAに本件についてのコメントを求めたが、速やかな回答は得られなかった。

 米タフツ大学(Tufts University)国際環境・資源政策センター(Center for International Environment and Resource Policy)のケリー・シムズ・ギャラガー(Kelly Sims Gallagher)センター長はサイエンスに対し、CMSの打ち切りは地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」に従った米国の炭素排出削減量を立証する取り組みを台無しにすると述べ、「重大な過ち」と指摘している。(c)AFP