【5月10日 AFP】ドイツの首都ベルリンの労働裁判所は9日、イスラム教徒の小学校教諭が授業中のスカーフ着用を禁じられるのは差別だと訴えていたのに対し、同市による着用禁止の指示は妥当と判断した。

 アルネ・ボイヤー(Arne Boyer)判事は、公務員が勤務中に宗教的なシンボルや衣服をあからさまに身に着けることを禁止するいわゆる中立法は、自由な宗教的表現の権利よりも優先されるという見方を示した。

 一方で、氏名非公表で申し立てを行い、裁判所にも姿を見せなかったこの女性教諭に対しては、ベルリン市内の公立中等学校で、より年上の生徒を対象にした職業教育に従事することを認めた。女性が上訴する可能性はある。

「ヒジャブ」と呼ばれるイスラム女性のスカーフをめぐっては、同国16州でそれぞれ異なる規制を行っており、今回の司法判断がより幅広い議論をもたらすと予想されていた。

 ドイツ法では、消防隊員が着用するマスクなど、健康上および安全上の理由を除き、全公務員に顔を覆うことを禁じており、イスラム教徒が全身を覆う「ブルカ」や顔を覆う「ニカブ」の着用も例外ではない。

 ただ頭髪を覆うヒジャブについては、国の法律では禁止されておらず、信教の自由と公務員に適用される中立規則とのバランスを図り、ケース・バイ・ケースで対応している州が多い。(c)AFP