【5月10日 AFP】マレーシアのマハティール・モハマド(Mahathir Mohamad)元首相(92)は10日、汚職スキャンダルに苦しんだナジブ・ラザク(Najib Razak)首相に総選挙で勝ち、世界最高齢の首相になる見通しだ。

 何十年にもわたり政権を担ってきた与党連合を下し、マハティール氏の政治家としてのキャリアは、誰もが想像しなかった第2幕を開けることとなった。

 同氏は1964年に医者から政治家へ転向し、81年から22年間マレーシアの首相の座にあった。権力乱用など批判を浴びながらも、在任期間中は東南アジアの静かな国だったマレーシアを比較的豊かな国へと変貌させた。

 マハティール氏の政治の最前線への復帰は、ナジブ氏の政府系投資会社「ワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)」をめぐる不正資金疑惑がきっかけとなった。ナジブ氏はマハティール氏の愛弟子だったが、汚職疑惑により不仲になっていた。

 マハティール氏が、かつて自らが率いた政党を政権の座から引き下ろすため方向転換をし、首相在任中は抑えつけていた政党と協力するなど数年前は想像もできなかったことだ。また、野党連合「希望連盟(Pakatan Harapan)」にとっても、対立していたマハティール氏と手を組むのは賭けだった。

 マハティール氏を懐かしく思う人もいる。国民の大多数を占めるマレー系ムスリムのトップ、近代マレーシア建国の父と見なされ、経済発展に寄与したとして政策的にも信頼されていた。一方で、人権を無視し、司法制度を弱体化させ、政敵を刑務所に送り込み、多民族国家において民族分断を悪化させたとして批判されてもいる。

 敵を容赦なく攻撃することでも悪名高い。かつては、彼が西洋による「新植民地主義」と見なした動きを批判し、欧州の人々は欲深く、戦争を挑発する性的倒錯者だと、怒りを爆発させた。