【5月3日 AFP】キュートな平たい顔ゆえに呼吸器に問題を抱えやすいとされるフレンチブルドッグについて、人気急上昇の結果、動物福祉という観点から懸念が高まっていると指摘する研究論文が3日、学術誌「Canine Genetics and Epidemiology(犬の遺伝学と疫学)」で発表された。

 短頭種の小型犬への世界的な人気の高まりを受け、英国でもフレンチブルドッグに対する需要が急増。同国では「まもなく」、「フレンチーズ(Frenchies)」との愛称を持つフレンチブルドッグが最も人気の高い犬種になると予測されている。

 論文の共同執筆者である、英ロンドン大学(University of London)王立獣医カレッジ(Royal Veterinary College)のダン・オニール(Dan O'Neill)氏は「動物福祉という観点において、フレンチブルドッグの需要増加が、際立った身体的特徴と関連する健康面でのリスクゆえに、こうした犬たちに悪影響を与えているという懸念がある」と指摘。

 平たい顔や目の突出、皮膚のしわといったこの犬種の特徴が、目の炎症や湿疹、呼吸障害といった病気の増加を招きやすいという。

 オニール氏はAFPに対し、「フレンチブルドッグはいくつかの症状を非常に発症しすいゆえ、数の急増がペット犬の全般的な福祉を悪化させている」と述べた。

 さらに執筆者らは、ペットの購入者の多くが、健康面や寿命という点への配慮よりも容姿やサイズ、行動特性といった点に重きを置いているようだと指摘。

 オニール氏は「ある犬種が繁栄するかどうかは、ソーシャルメディアやテレビにおけるイメージ、さらには『かわいい!』という要因が決め手になっているようだ」と述べた。

 研究チームは「どれ(犬種)が存続せず、絶えてしまうかを決めるのは一般の人々になる」と指摘する一方、今回の研究結果が「ブリーディングにおける慣行への改革の一助となり、最終的にはフレンチブルドッグの健康面および動物福祉の面での改善に寄与する」ことを願っているとしている。(c)AFP/Mariëtte Le Roux