【5月3日 AFP】マレーシアで来週行われる総選挙に野党連合の首相候補として出馬するマハティール・モハマド(Mahathir Mohamad)元首相(92)が、「フェイク(偽)ニュース」を取り締まる新法に違反した容疑で捜査対象となっていることが分かった。3日、マレーシア警察当局が明らかにした。新法をめぐっては、選挙を前に政権批判を封じるのが目的だとの批判がある。

 マハティール氏はかつての愛弟子、ナジブ・ラザク(Najib Razak)首相の長期連立政権打倒を掲げ、9日に投開票される総選挙にリゾート地ランカウイ(Langkawi)の選挙区から立候補している。

 問題とされているのは、総選挙が告示された先週末にランカウイへ向かおうとしたマハティール氏が、チャーター機に妨害工作を受けたと主張した発言だ。マハティール氏は別の飛行機で選挙区へ移動した。マレーシア航空当局とチャーター機の運航会社は、技術的な問題があったと説明し、妨害工作の可能性を否定している。

 首都クアラルンプールの警察当局は、マハティール氏に対し「フェイクニュースを拡散している」と非難する告発を受け、「フェイクニュース対策法」に基づいて捜査を開始したとAFPに語った。

 フェイクニュース対策法は先月、野党やメディア監視団体の批判を押し切ってマレーシア議会を通過、成立した。当局が「全てまたは一部がフェイク」だと見なした情報を拡散した者に、最高6年の禁錮刑と高額の罰金を科すと規定している。

 しかし同法は、政府系投資会社「ワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)」をめぐる巨額の不正資金疑惑の渦中にあるナジブ首相への批判を封じ込めるのが狙いだと批判されている。(c)AFP