【5月2日 AFP】英政府は1日、独自の衛星測位システムの開発・打ち上げの可能性を探る方針を明らかにした。英国は欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)後、EUの衛星測位システムから除外される懸念が高まっている。

 英首相官邸によると、テリーザ・メイ(Theresa May)首相が専門家で構成する作業部会を設置した。作業部会は英宇宙機関(UK Space Agency)が主導し、「ミサイル誘導や衛星ナビゲーションへの電力供給に使える英国版GPS(衛星利用測位システム)の開発に向けた選択肢の策定」に当たる。

 米国のGPSのように、商業向けと安全保障向けに、民生用の通信と暗号化された通信のどちらも可能なシステムの開発が可能か検証するという。

 EUは米国のGPSに対抗して、100億ユーロ(約1兆3200億円)を投じて衛星測位システム「ガリレオ(Galileo)」を整備し、2026年の完全運用を目指す。英国は開発で重要な役割を果たしたが、EU側は英国のEU離脱を受けて、関連する事業の入札に英企業を参加させない方針を示している。

 英国は、来年3月のEU離脱後もガリレオには完全なメンバー国として引き続き参加できると主張しているが、EU側は今年に入り、英離脱後の「安全保護」を理由にガリレオの衛星監視拠点の一つを英国からスペインに移転させることを決定。英国は苦しい状況に追い込まれている。(c)AFP