【5月1日 AFP】アフガニスタン北部では、消費者が手頃な大量生産の布地を求めるようになったのに伴い、中国で作られた安価なナイロン製のブルカが溢れている。そんな中、カブールにある昔気質の小さな衣装店が、かつてアフガン文化に欠かせなかった伝統的な織物を保存するために奮闘している。

 2006年に立ち上げられた、ペルシャ語で「貴重」を意味する「ザリフ(Zarif)」では、伝統的な綿や絹の織物を職人に発注し、その布地を使って女性を中心とする20人以上の従業員が、刺しゅうをほどこした衣服のデザインと仕立てを行っている。

 しかし安価な輸入品が市場に溢れる中、彼らは地元の伝統的な手法を維持するのに苦心していると、創設者のゾライカ・シェルザド(Zolaykha Sherzad)さんは話す。

 同国の織物産業が、シルクロード(Silk Road)の時代から盛んな伝統的じゅうたん貿易と肩を並べるようになったのは、わずか数十年前のこと。

 織物の図柄や色、刺しゅうには、織り手のルーツや部族の歴史が投影されており、全盛期には、織物には単なる繊維以上の価値があった。

 シェルザドさんは、「昔は、織物の全体に刺しゅうを施し、壁飾りやクッション、ウェディングドレスなどを作っていました」と話し、「でも今は、ジャケットやコートの飾りを制作しながら、なんとかこの技術を継承しようと努力しています」と続けた。手工芸の需要が減少したことにより、かつては内職で生計を立てることのできた多くの女性たちが職を失ったという。

 シェルザドさんは、ザリフの経営によって、この国の織物の伝統を保存することを目指しつつ、現代人のファッション感覚に見合った現代的なデザインにすることで、そのギャップを埋めようとしている。