【4月27日 AFP】韓国に歴史的一歩を踏み入れた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長を取り囲む一団。彼らは適性、射撃技術、武術の能力、そして見た目さえも考慮し選び抜かれたボディーガードだ。

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)大統領と握手を交わすため、金委員長が南北を隔てる軍事境界線に近づくと、シャープなスーツに青と白のストライプのネクタイを締めた男性たちがその前や脇に広がった。

 中には背広のポケットが膨れている者もいる。全員が襟に北朝鮮の赤いバッジを付け、米大統領警護隊(シークレット・サービス、US Secret Service)も愛用しているチューブ式イヤホンを装着している。

 27日午前の首脳会談が終わると、ボディーガードたちにはランチ前の「軽い運動」が与えられた。金委員長の乗る公用車の脇や後ろを人間の盾となり、ネクタイをはためかせながら走った。

 北朝鮮は世界で最も厳格に管理されている社会の一つで、国のリーダーの警護ともなれば、なおさら鉄壁だ。

 北朝鮮から亡命した李英國(リ・ヨングク、Ri Yong Guk)氏は、故金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記の警護隊の一員だった。2013年の回顧録によると、金総書記が地方の軍事施設や工場、農場へ視察に行くときは、ボディガードが六重にもなって警護したという。「警護の厳重さは世界でも最高レベルで、アリ1匹も通れないほどだった」と李氏は同書で記している。

 現最高指導者である金正恩委員長の警護は、さらに厳しいと報じられている。2月に平壌で行われた朝鮮人民軍の創設70年を記念する軍事パレードでは、金委員長を守るために3種類の部隊が警護に当たった。

 金委員長は、銃を入れたホルスターを付けた軍服姿のがっしりした体形の大将に付き添われている姿をたびたび目撃されている。

 また金委員長の妹、金与正(キム・ヨジョン、Kim Yo-Jong)朝鮮労働党第1副部長が韓国で開催された平昌冬季五輪を訪れた時も、角刈りで、サングラスとイヤホンを身に着けた背の高いボディーガードが警護していた。(c)AFP/Park Chan-kyong