■今なお絶滅危機

 だが、推定結果が従来より高い数値となるにもかかわらず、類人猿の個体数は近年急速に減少していることが、今回の調査で明らかになった。これは、類人猿が今なお絶滅の危機に直面していることを意味する。

 論文によると、ゴリラの個体数は2005年から2013年までの間に約19.4%減少したという。このペースでいくと、ゴリラの個体数はわずか3世代で80%急減すると予想される。

 マイセルズ氏によると、研究者らはより正確な推定値が得られて「喜んで」いる一方、これによって国際自然保護連合(IUCN)の「レッドリスト(Red List、絶滅危惧種リスト)」で特に絶滅の危険度が高い「近絶滅種」としてのゴリラのランクが変わるわけではないと注意を促しているという。

 また、チンパンジーの絶滅危惧種としての格付けも変わらない。

 論文によると、保護区外に生息している大型類人猿は全体の80%に及ぶという。

 ゴリラを殺すことは全世界で違法とされているが、ゴリラの生存に対する最大の脅威は依然として狩猟であり、次いで病気、生息地の減少となっている。

「ゴリラの生息数が従来の予想より多く、チンパンジーの生態学的回復力が予想より高いことと、大型類人猿の生態学的に有効な生息環境が広範囲にわたって残存することを考えると、強固な保護政策、管理が行き届いた保護区、責任のある産業の実践などにより、大型類人猿の減少を食い止め、個体群の安定化と繁栄をもたらすことができると期待している」と、論文は結論づけている。(c)AFP/Kerry SHERIDAN