【4月24日 AFP】シンガポールのジュロン野鳥公園(Jurong Bird Park)には、難聴がありながらも動物たちと親密な関係を築き、スタッフたちから「鳥にささやく人」と呼ばれる飼育員がいる。

 生まれて間もなく病気になり聴力の80パーセントを失ったラザーリ・ビン・モハマド・ハビディン(Razali Bin Mohamad Habidin)さん(48)は、20年以上前に同園で働き始め、鳥類担当飼育員の副責任者の地位にまで出世した。

 うなるような声やジェスチャーなどを駆使して鳥たちとコミュニケーションを取るラザーリさんは、AFPに対して「振る舞いや性格」で鳥を識別すると説明。ジェスチャーとマレー語を交えながら「(同園にいる)全ての鳥が私の友達です」とコメントした。

 同園のスタッフたちは、俳優ロバート・レッドフォード(Robert Redford)さんが馬を理解する能力をもつ調教師を演じた米映画『モンタナの風に抱かれて(The Horse Whisperer)』になぞらえ、ラザーリさんを「鳥にささやく人(bird whisperer)」と呼んでいる。

 同園幹部の一人はラザーリさんについて「ほとんど誰もできない、鳥たちとのコミュニケーション方法を心得ている。見るだけで、鳥たちの体調が良いかどうか分かる」と話す。

 ただラザーリさんにとって、職場の同僚との意思疎通の方が鳥以上に難しいことがある。

 10人以上のスタッフを率いるラザーリさんは、通常手を使ったさまざまなジェスチャーを交えて指示を与え、スタッフが返事をする際はその唇の動きを読み取っているという。(c)AFP