■サッカーをテーマにしたアバヤ

「黒でなければアバヤではない」というサウジアラビアの暗黙のルールにJoharjyは反抗した。

 新しいパターンや、素材、装飾を取り入れ、アバヤは時とともに進化を遂げてきた。王国内ではヘッドスカーフの上からキャップを被るスタイルも見かけるようになった。

 最新の流行は、“サッカーをテーマにしたアバヤ”。地元チームのテーマカラーのアバヤは女性スポーツファンにとって、大好きなチームを応援する新しいスタイルだ。

 この6月から女性も車の運転が可能になるほか、スポーツスタジアムへの入場が可能になる歴史的国王令が発令されるなど、王国の自由化が進む中、こういったファッショントレンドは勢いを増している。

 政府は2014年に禁止令が解除されたことを受け、女性のスポーツの活性化を図り、女子生徒に体育の授業を義務化する意向だ。

 またサウジアラビアの職員は最近、以前は男性限定であったリヤド(Riyadh)の国際マラソンに、来年から女性も参加できると発表した。

 女性が公共の場で運動することは長年、王国の厳格な宗教警察の標的だったが、近年では大幅に緩和している。

 アバヤを着用しないという、かつては想像もできなかった考えは、今では徐々に支持を集めている。

「法律はとてもはっきりとしており、シャリア(イスラム法)には、女性は男性同様、敬意を表した適切な服を着ること、と明記されている」とムハンマド皇太子は先月米CBSのテレビ番組で説明した。「しかしこれは、黒いアバヤだと具体的に明記しているわけではない。どのような敬意を表した適切な服を着るかは、女性が判断することだ」