【4月13日 AFP】複数の国々に入国を拒否された後、マレーシアの首都のクアラルンプール国際空港(Kuala Lumpur International Airport)で1か月以上にわたって足止めされているとして、助けを求めているシリア人男性がいる。

 ハッサン・コンタル(Hassan al-Kontar)さん(36)は、動画共有サイトのユーチューブ(YouTube)に投稿した動画の中で、37日前に同空港のターミナルに到着してからの自身の窮状を訴えた。

 報道によると、コンタルさんはアラブ首長国連邦(UAE)で就労していたが、2017年1月、マレーシアに追放された。

 コンタルさんはマレーシアから、査証(ビザ)無しでの入国が認められると期待したエクアドルへ向かう計画だった。しかし、航空券を所持していたにもかかわらず、エクアドルに向かう便への搭乗を拒否された。

 その後、コンタルさんはカンボジアにも入国を拒否され、3月7日、マレーシアに送り返された。だが、3か月の観光ビザの期限は切れており、今では不法滞在となっているためマレーシアへの再入国も認められず、クアラルンプール国際空港の乗り継ぎラウンジで立ち往生する羽目になった。

 ユーチューブに投稿した動画の中でコンタルさんは「心細く、無力で、自分が望まれない存在で拒絶されている感じだ。どこも私を受け入れてくれない」と述べた。「どうしたらいいか分からない。ほぼ全ての人権団体に連絡を取ったけれど、助けることはできないと言われた」「彼らに解決策はない。私にも解決策はない」

 コンタルさんは兵役を拒否した罪で当局に指名手配されているため、シリアに帰国することもできない。足止めされて以来、機内食をもらって食べたり空港のトイレで洗濯したりして生き延びているという。

 今回の事例は、トム・ハンクス(Tom Hanks)が祖国の政府の崩壊後、米ニューヨークの空港で足止めされた男性を演じた映画『ターミナル(The Terminal)』(2004年)を連想させる。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の報道官は、UNHCRは本件を把握しており、当事者と関係当局に連絡済みだと述べた。(c)AFP