【4月7日 AFP】国連(UN)の食糧農業機関(FAO)は3日、現行の食料生産方法は地球に有害であると同時に世界の貧困層に十分な食料の提供ができていないとして、土質を改善し、農業生産コストを削減する「アグロエコロジー(agroecology)」が有効な対策になるとの見方を示した。

 FAOのジョゼ・グラジアノ・ダシルバ(Jose Graziano da Silva)事務局長はイタリア・ローマのFAO本部で今月3日から3日間の日程で開かれた第2回国際アグロエコロジーシンポジウム(International Agroecology Symposium)で「健康的で栄養価の高い食料を提供し、環境も保全する持続可能な食料システムを推し進めていく必要がある」と述べた。

 グラジアノ事務局長は、第2次世界大戦(World War II)後は化学物質を大量に使用して食料を増産してきたが、これは地球に計り知れない悪影響も与えていると指摘し、「あらゆる犠牲を払って食料を増産したが世界の飢餓は根絶できておらず、土壌、森林、水、大気、そして生物多様性が損なわれ続けている」と述べた。

 FAOがまとめた食料危機に関する2018年の報告書によると、世界で「極めて深刻なレベル」の食料不足に直面した人は2016年は1億800万人だったが、2018年は51の国と地域で1億2400万人になると指摘している。

 ブカル・ティジャニ(Bukar Tijani)FAOアフリカ地域事務所代表によると、今年2月は気候変動や紛争によって食料不足が深刻化しアフリカ全域で2億2400万人が栄養不足になった。

 グラジアノ事務局長によると、約30か国がアグロエコロジーを推進する法律あるいは規制の枠組みを導入している。

 インド・アンドラプラデシュ(Andhra Pradesh)州のビジャイ・クマール(Vijay Kumar)農業顧問によると、同州政府は2024年までに同州の農民600万人のうち80%をアグロエコロジーに転換させると決定した。

 クマール氏は、現行のやり方では農民は貧しいままで、インドでは「農民の自殺が相次いでいる」と指摘し「われわれは幸せな農民たちが力を合わせて食料が増産されることを望んでいる」と述べた。(c)AFP