【4月3日 CNS】中国のインターネット検索最大手、百度(Baidu)傘下の動画サイト「愛奇芸(iQIYI)」が3月29日、米ナスダック(Nasdaq)に上場した。

 愛奇芸は2010年4月、百度と米投資会社プロビデンス・エクイティ・パートナーズ(Providence Equity Partners)との共同出資によって設立された。それから8年間、愛奇芸は「寄らば『百度』の陰」とばかりに走り続けてきた。

 17年末時点で、愛奇芸のモバイル端末の月平均訪問ユーザーは約4億2130万人、1日の平均訪問ユーザーは1億2600万人。PC端末の月平均訪問ユーザーは約4億2410万人、1日の平均訪問ユーザーは5370万人と、中国国内ではほかの動画サイト運営企業の先頭を走っている。

 愛奇芸は最近になって動画業界のトップになったわけではない。これまでにも、たびたび上場のチャンスはあった。だが、今回の上場は百度の後押しがなければ実現しなかった。

 18年1月まで、百度は愛奇芸に対し、無利息で計6億5000万元(約110億円)を貸し付けている。これまでの重要な成長段階には、百度の資金援助が必要不可欠だった。

 愛奇芸は確かに財務上では百度の足を引っ張ってきたかもしれないが、百度は常に自社のコンテンツ・エコシステムの充実を優先し、愛奇芸は動画サイト業界トップの座を維持し続けてきた。

 目論見書によると、今回の上場は百度への資金的依存を軽減させるためだという。株式の発行価額は18ドル(約1913円)、応募超過分を合わせた資金調達額は25億8750万ドル(約2750億7710万円)。調達資金の50%をコンテンツの発展にあてると強調していたことから、12億ドル近くを投入するものとみられる。

 百度は、今後は資金以外の面からサポートしたいとしている。

 百度と愛奇芸は今後、人工知能(AI)を利用して人気の動画や興行収益を予測し、そのデータを基にコンテンツに投資する基準を決定するなど、愛奇芸のユーザーにさらに満足してもらえるサービスを提供したいとしている。

 百度の人工知能は、世界でもトップレベル。人工知能とビッグデータによる分析を利用し、ユーザーの感情や習慣などを理解、洞察し、ユーザーが欲するコンテンツを制作するなど、さらに上を行くサービスとエンターテインメント体験の提供を目指す。(c)CNS/JCM/AFPBB News