【4月3日 AFP】フランスの救急医で登山ガイドとしても活動し、その卓越した仕事ぶりから「頂上の医師(Doctor Vertical)」と呼ばれるエマニュエル・コーシー(Emmanuel Cauchy)さん(58)が2日、フランス・アルプス(French Alps)で発生した雪崩に巻き込まれて死亡した。救急当局が発表した。

 雪崩が起きたのはリゾート地シャモニー(Chamonix)にあるエギュイーユ・ルージュ(Aiguilles Rouges)。コーシーさんはオフピステ(ゲレンデ外)を滑っていたスキーヤー集団と共に巻き込まれた。

 フランスの登山界で著名なコーシーさんは、山岳救助に関する本を複数執筆し、「頂上の医師」の名で新聞に寄稿していた。

 凍傷の専門家でもあったコーシーさんは救助訓練機関「IFREMMONT」を設立。今年1月に「人食い山」として知られるパキスタンの高峰ナンガパルバット(Nanga Parbat)でフランス人登山家のエリザベート・レボル(Elisabeth Revol)さんが遭難した際には、治療を行う救助隊にビデオを通じて協力した。

 レボルさんは「登山界は最も優れた医師を失った。凍傷治療の手順を確立したことで登山医学を発展させた偉大な人物だった」とコメントした。

 フランス気象局(Meteo-France)は先月31日、この時期としては異例の大雪によって雪崩が発生するリスクが高まっていると警告していた。(c)AFP