■数学的調査が謎解明の鍵

 この明らかな矛盾は、音が部分的な崩壊で生じる可能性があることが今回の数理モデルで示されたことにより、解決されたと考えられる。

 超音波を用いた過去の研究でも、音が関節液内の圧力変化に関連しているという同様の結論に到達していた。

 だが、2015年に発表された論文では、特徴的な関節音の原因は気泡の崩壊ではなく、気泡の形成であることが示唆された。

 バラカト教授は「過去の研究は全て観察や画像化に基づくものだったので、今回の研究ではこの音を数学的に調べることを目指し、これを支配する物理現象を記述する数理モデルの構築を試みた」と話す。

「崩壊によってまさにあの特徴的な音が発生することが、今回の研究で分かった」

 これで論争が完全に決着するわけではないかもしれないが、今回の研究が、指関節をポキッと鳴らしたくなる無意識の衝動を誘発することは確かだ。

「この論文を発表した後、娘が試しに関節を鳴らしてみたのだが、今ではすっかり指鳴らしの癖がついてしまった」と話すバラカト教授自身も、指関節鳴らしの癖がある。

 これまでのところ、指関節鳴らしが有益か有害かについてはまだ明らかになっていない。医師らによれば、広く信じられているうわさに反して、関節炎の原因にはならないという。(c)AFP/Hazel WARD