■「健康で幸せなクローン」

 毎年何匹のペットのクローンが作られるのかは不明だ。クローンのサービスを提供する米企業の一つ「ViaGen Pets」は、AFPのコメント要請を拒否した。

 同社のウェブサイトには「弊社は毎年、健康で幸せなクローン牛数千頭と、クローン馬数百頭を生産している」とのメッセージが書かれている他、同社の科学者らは「15年以上にわたり、動物のクローンおよび再生技術の開発に成功してきた」とも主張している。

 匿名を条件にAFPの取材に応えたViaGen Pets社の元従業員は、テキサスを拠点にした同社では猫や犬などのペット約100匹のクローンを作ったと話した。

 もう一つの主要なクローンペットの事業者、韓国・ソウルのスアム生命工学研究院(Sooam Biotech Research Foundation)では、これまで約800匹のペットのクローンが製作されている。一匹あたりの費用は約10万ドル(約1060万円)だ。

 他方で、その他多くの企業もペットのクローン事業に手を出しているが、どこもことごとく失敗している。

 元々は牛の精液の販売に携わっていたというロン・ガレスピー(Ron Gillespie)氏がオーナーを務める「PerPETuate」は、ペットのDNAを1300ドル(約13万8000円)で採取・保管するサービスを行っている。PerPETuateでも、かつてペットのクローン事業も手がけていたが、今ではViaGen Petsのような企業に外注しているという。

 ガレスピー氏によると、犬で死後5日、猫で同3日以内ならペットのクローンを製作することが可能だという。DNAが採取されるまで死骸が冷却保存されていることが条件だ。ただペットが生きている間に、獣医師によって皮膚と筋肉のサンプルが採取されることが本来であれば望ましいとしている。

 サンプル採取後の次のステップでは、ドナーの犬から卵細胞1個を採取する。そこから卵子核を除去して、クローン化したいペットのDNAを挿入。そして胚が成長したら代理母犬の子宮に移植する。