【3月28日 AFP】地面に座り、乳児を膝に乗せながら大学の入学試験を受けるアフガニスタン人女性の写真がインターネット上で拡散し、話題となっている。

 この女性はジャハンタブ・アフマディ(Jahantab Ahmadi)さん(25)。アフガニスタンの農家出身で3児の母だ。医者になるという夢をかなえるために子ども連れで大学受験に臨んだ。

 写真は、アフマディさんが受験したアフガニスタン中部にあるナシル・フスロー(Nasir Khusraw)私立大学の教授が撮影した一枚だ。女性の識字率が非常に低く、女性が二級市民として扱われているアフガニスタンで、この非常に印象的な写真は人々の心を捉え、その後インターネットを通じて瞬く間に拡散した。アフマディさんを称賛する声や経済的支援の申し出も殺到している。

 小麦やトウモロコシ、ジャガイモの栽培がわずかな収入をもたらすダイクンディ(Daikundi)州辺境の小さな村で暮らすアフマディさんは、首都カブール(Kabul)で行われたAFPのインタビューに「勉強の機会を奪われたくない」、「家から出て働きたい。医師になって、地域や社会の女性の役に立ちたい」と話した。

 試験は屋外で行われた。開始時、アフマディさんは赤ちゃんを膝に乗せて椅子に座っていたが、赤ちゃんが耳の痛みから泣き出してしまった。そのため、赤ちゃんを泣きやませてから、他の受験者の邪魔にならないよう地面に座って試験を受け続けた。

 当時の様子について、「赤ちゃんに気を配りながら解答しなければならなかった」と述べるアフマディさん。結果は合格だったという。

 アフガニスタンの若者を支援する団体「アフガン・ユース・アソシエーション(Afghan Youth Association)」がクラウドファンディングサイト「ゴー・ファンド・ミー(GoFundMe)」上でアフマディさんの学費支援を呼びかけたところ、26日の時点で1万4000ドル(約150万円)以上が集まっている。人口の約39%が貧困ライン以下の暮らしを送るアフガニスタンでは大金だ。

 アフガニスタンの識字率は世界でも最低水準の36%。女性に限ればこの数字はもっと低い。

「取り残されたくない」──アフマディさんはそう語った。 (c)AFP/Mushtaq MOJADDIDI / Allison JACKSON