【3月27日 AFP】ロシア・西シベリア(Western Siberia)の工業都市ケメロボ(Kemerovo)にあるショッピングセンターで発生した火災について、捜査当局は26日、安全規範に「重大な違反」があったと非難した。これまでに警備会社幹部を含む5人の身柄が拘束されている。

 ケメロボのショッピングセンター「ウィンターチェリー(Winter Cherry)」で25日に発生した火災では、センター内の複合映画館(シネマコンプレックス)で子どもたちがアニメ映画を見ていたが、捜査関係者や目撃者らによると、非常口は施錠され警報装置も作動していなかったという。火災では64人が死亡し、その多くが子どもだった。

 連邦捜査委員会(Investigative Committee)は声明で「これほど深刻な結果を招くに至った重大な(安全規範)違反の証拠を入手した」と明らかにした。既に犯罪捜査を開始し、ショッピングセンターの警備会社幹部を含む5人の身柄を拘束したという。この幹部は火災発生時に火災報知システムを停止させていた疑いがもたれている。

 今回の火災で11歳の双子と5歳の娘、計3人を失ったアレクサンデル・リレフヤリさんはニュースサイト「Meduza」の取材に、娘たちは映画館の中から外にいるリレフヤリさんに向かってドアが開かないと叫んでいたと語った。「ドアを開けて映画館の外へ出なさいと叫ぶ以外に、なすすべは何もなかった。既に炎は私の目の前まで迫っていた」

 目撃者らがロシアメディアに語ったところによると、多くの人たちが警報を聞いてておらず、事態を深刻に捉えていなかった。火の回りが早かったため、多くの子どもたちが親の元にたどりつけなかった。

 ある目撃者はニュース専門チャンネル「ロシア24(Rossiya 24)」に「火災を知らせる案内は全くなかった。人々が突然、非常口に殺到し、物が焼ける臭いがして、やっとこれは非常訓練じゃないと分かった」と語っている。(c)AFP/Ola CICHOWLAS