【3月26日 東方新報】中国の春節(旧正月、LunarNewYear)が明け、求職者が増えるこの時期、求職者をだます「黒職業紹介所」も暗躍し始める。

 若者はインターネットなどを駆使して仕事を探すことができるが、出稼ぎ労働者の多くは、すぐに面接でき、その日から働ける職場を好む。

 正規の職業紹介所を通すとどうしても手続きが面倒になりがちだが、詐欺業者はそこに目を付け、「面接不要、即日入社、高収入・高待遇」などをうたい、求職者をおびき寄せる。最近ではインターネット上に虚偽の求人情報を出している詐欺業者もいる。求職者はきちんと見極めて判断する必要がある。

■虚偽の求人情報をえさに登録料を要求

 最も多いのは、虚偽の広告で求職者をおびき寄せ、登録料を要求、ありもしない仕事の情報を提供するという手口だ。

 かつて被害に遭ったことがある張さんは、広告で見つけた求人情報を頼りに職業紹介所を訪ねた。「紹介所」は、ボロボロのアパートの一室で3人の女性が働いているだけだった。

 登録料10元(約165円)を支払えば即日で仕事を紹介できるというので、素直に支払い、登録表に記入が終わると、さらに情報サービス料として200元(約3331円)請求された。

 仕方なく支払うと、事務の仕事を紹介された。給料も悪くないし、食堂、宿舎も完備だという。待ち合わせをした地下鉄の駅に「雇い主」が現れて、張さんが会社の場所や労働時間などについて質問するや、この「雇い主」は気を悪くした様子で、「そんなに聞いてどうする? 君は不採用だ!」と怒ってどこかへ行ってしまった。

 びっくりした張さんはしばらくぽかんとしていたが、はっと我に返り、自分が騙されたことに気がついた。

■ペーパーカンパニーと結託

 ペーパーカンパニーとつながっている「黒職業紹介所」もある。紹介料をだまし取り、紹介先のペーパーカンパニーで保証金や制服代、健康診断などの名目でさまざまな「費用」をだまし取る。

 最終的には、健康診断の結果が入社基準を満たしていないなどの理由をつけて採用しない。

■「ゲリラ」詐欺

 何人かで短期間部屋を借り、ゲリラ的に違法に職業紹介業務を行う。虚偽の求人広告を出して「紹介料」や「資料作成費用」「健康診断費用」などの名目で金を絞り取れるだけ絞り取り、さっさととんずらするという手口だ。

 被害に遭った求職者が通報する頃には、社名や住所は変更されていて摘発することが難しい。

■「試用期間」の名目でただ働き

 サービス業に多い手口。紹介業者と雇用者が手を組み、紹介業者は、登録料や紹介料を手に入れ、雇用者は「試用期間」の名目で無料もしくは安い労働力を手に入れる。

「試用期間」が終わると、求職者は解雇され、雇用者はまた新たな求職者を招き入れる仕組みだ。

■合法の皮をかぶった違法会社

 一見、何の不審点もない求人広告で労働者を募集する。求職者は入社後必死に働くが、自身の仕事が違法行為の一端を担わされているとはわからないまま働くことになる。こういった手口は防ぐことが難しい上に、自身も捕まってしまうおそれもある。(c)東方新報/AFPBB News