【3月20日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は19日、麻薬性鎮痛薬オピオイドの乱用問題対策の一環として麻薬密売人への死刑適用を訴えた。ただ、政策としてのみでなく政治的な動きともみられ物議を醸している。

 オピオイド乱用が深刻な州として知られるニューハンプシャー(New Hampshire)州のマンチェスター(Manchester)で行った演説で述べたもので、犯罪に対して厳罰で臨むというトランプ氏の姿勢をアピールする狙いがある。

 米国では約240万人がオピオイド系の処方鎮痛剤やヘロインなどの依存症に陥っており、トランプ氏は大統領就任時にこの問題に取り組むと明言していたが、対策は思うように進んでいない。厚生省管轄下の国立衛生研究所(NIH)の推計によると、米国では鎮痛薬物の過剰摂取で1日当たり約115人が死亡している。

 米国でも薬物絡みの犯罪の最高刑は死刑だが、これまで実際に適用された例はない。

 トランプ氏が発表した乱用対策は、罪の重さに比例した判決を科すとした最高裁の原則に抵触する可能性が高く、当局者らも薬物密売のみで死刑適用を義務付けるように法改正を目指すものではないとしている。最高裁の判決原則では、死刑を適用し得る犯罪は殺人のみとされる。(c)AFP