【3月15日 AFP】1986年に起きたチェルノブイリ(Chernobyl)原発事故の影響による先天異常に苦しみ、幼少期を孤児院で過ごした米国代表のスキー選手が14日、平昌冬季パラリンピックで見事に金メダルを獲得した。

 オクサナ・マスターズ(Oksana Masters)はチェルノブイリ原発事故発生から3年後の1989年、旧ソ連(現ウクライナ)で誕生。事故の影響で足の指が生まれつき6本、親指のない両手は合指症を発症し、左脚の長さは右脚より15センチも短いという状態だった。

 その後、家族に手放されたマスターズは異なる三つの孤児院を転々としたが、7歳の時に米国人女性に養子縁組され、同国へと渡った。

 深刻な先天異常から医師は両脚の切断を決断。さらに両手にも複数回にわたる形成手術を受けた。しかし、障害がありながらもスポーツに関わることを決意したマスターズは今、スキーをはじめ、ボートやバイアスロン、自転車でも競技者として活躍している。

 そしてこの日、マスターズはクロスカントリースキー女子1.1キロスプリント座位で自身初のパラリンピック金メダルを獲得。今大会ではすでにバイアスロン女子6キロ座位で銀、クロスカントリースキー女子12キロ座位で銅に輝いていた28歳は「最高に幸せ。ずっとこの金メダルを追いかけてきたから」「キャリア最高のメダルになった」と喜んだ。

 2012年のロンドンパラリンピックはボートで銅、続く2014年のソチ冬季パラリンピックでも二つのメダルを獲得しているマスターズは、幼い頃に苦しんだ時間が五輪でチャンピオンになる結果につながったと考えている。「小さいときに経験したすべてのことを前向きな方向に転換できて本当にハッピー」 (c)AFP