【3月13日 AFP】ミャンマーの人権問題を担当する国連(UN)の李亮喜(イ・ヤンヒ、Yanghee Lee)特別報告者は12日、ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)に対する迫害は「ジェノサイド(大量虐殺)の性質」がみられると指摘し、迫害の責任はミャンマー政府にあるとの認識を示した。

 仏教徒が多数派のミャンマーでは軍がロヒンギャの掃討作戦に乗り出した昨年8月以降、70万人近いロヒンギャがラカイン(Rakhine)州北部から隣国バングラデシュに避難している。

 ロヒンギャに対して兵士や自警団員らが放火や殺人、レイプに及んだとする証言もあり、米国や国連は民族浄化の疑いがあると非難する一方、ミャンマー政府はロヒンギャ武装集団「アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)」による襲撃に対応したものだとして、迫害を断固否定している。

 しかし李氏は12日の国連人権理事会で、ラカイン州でのロヒンギャ迫害について「ジェノサイドの性質を有しているとの確信を強めている」と述べ、「最大級の強い言葉で説明責任を求める」と糾弾した。

 李氏はミャンマーへの入国を同国政府から禁じられているが、生きたまま火をつけて殺害するといった無差別殺人に関する「信頼ある報告」があったと懸念を口にした。また、責任について「命令を下した人々と暴力に及んだ人々を追求しなければならない」と言及し、迫害を放置した政府指導部にも責任があると強調した。

 ロヒンギャ迫害をめぐってはゼイド・ラアド・アル・フセイン(Zeid Ra'ad Al Hussein)国連人権高等弁務官も先週、ミャンマーでの残虐行為の刑事告発も視野に入れた新たな国際調査団の組織を呼び掛けた。(c)AFP