■アドレナリン・ジャンキー

 数々の記録を塗り替えてきたこの少女は、7歳の時に初のスポンサー契約を結び、他の女子プレーヤーが成功させたことのないさまざまなトリックをすでにマスターしている。

 父親のスチュさんは、命知らずの娘をこのスポーツから遠ざけておこうと試みたこともあるという。3歳でスケートを始めたのだが、それまではボードに乗せたくなかったと語る。「女の子が生まれると親は優しく包んであげたくなるものだが、どれだけ引き離しても娘はスケートボードに戻っていった」と当時を振り返った。

 母親の美恵子さんも、スカイさんが面白半分に危険な技に挑戦するのを見るとヒヤヒヤすると話す。

 取材に応じる母親の目の前で、スカイさんはバスの屋根から勢いよく飛び降り、見事な着地を決めた。「初めて見た時は冷や汗が出た」と話す美恵子さんだが、「今は娘を信頼している。彼女ができると言うならそれを信じるだけ」と語った。

 しかし、スカイさんのさらに上を行くアドレナリン・ジャンキーは、肩まで伸ばした髪と黒いビーニー帽できめた弟のオーシャンくんだ。スチュさんいわく、娘は器用でエレガントだが、弟は無鉄砲で親の言うことには耳を貸さない性格なのだそうだ。

■固い決意

 プロサーファーでもあるスカイさんは、その年齢からは想像しがたいほどの決意を胸に秘めている。  

 スカイさんは、エクストリームスポーツの競技大会「Xゲームズ(X Games)」への今年中の出場を目指しているが、いくつかの競技会では彼女の参加にあまり前向きな様子が見られないのだという。どうやら、年長の参加者らとのバランスを考慮する必要があるというのがその理由のようだ。

 夕日を背にサーフィンを楽しむ子どもたちを見ながら、「娘を大会から永遠に遠ざけておくことはできない」と肩をすくめるスチュさん。そして、スケートボード協会が五輪出場資格に年齢制限を設けない決定を下していることを説明した。

 五輪への切符が決まれば、2017年に英国やスウェーデン、シンガポールで見せた印象的なパフォーマンスと相まって、彼女のすごさは自ずと証明されることになるだろう。