■汚れた資金を動かす格好の場所

 だが今年始まった英BBCのドラマシリーズ「マクマフィア(McMafia)」は、ロンドンのロシア人社会が持つ暗い側面のイメージを多くの英国人に焼き付けた。作品では、英国育ちの洗練されたロシア人銀行家が、祖国の家族の確執に巻き込まれ、組織的犯罪と資金洗浄に引き込まれていく運命を描いた。

 資本家、弁護士、最上の投資物件のネットワークが存在するロンドンは、汚れた資金を動かす格好の場所だと言われて久しい。同テレビシリーズについてロシア大使館は、「陳腐な先入観を広めている」としてBBCを非難した。

 しかし、英内務省のベン・ウォレス(Ben Wallace)治安担当閣外相は「組織犯罪の国際的な性質、そしてそれに手を染める者の一部が何のとがめも受けずにいる状況は、真実に非常に近い」とコメントしている。また、ある反汚職活動家は、ロンドンの魅力は文化や教育施設もあるが「何よりも汚い資金が受け入れられやすい」点にあるとAFPの取材に語った。

 フランスやイタリアに比べて、ロシア人の元スパイが英国に多くいる理由について歴史家のフェルシュチンクシ氏は、英国や米国で伝統的に行われている防諜活動を挙げる。「逮捕もされず、殺されず、揚げ句の果てに移住するチャンスがあれば、二重スパイをしている相手の国へ行こうということになる」 (c)AFP/Ouerdya AIT ABDELMALEK