【3月8日 AFP】「建築界のノーベル賞(Nobel Prize)」とも呼ばれるプリツカー賞(Pritzker Architecture Prize)の今年の受賞者に、7日、低コスト住宅デザインの先駆者として知られるインドの建築家、バルクリシュナ・ドーシ(Balkrishna Doshi)氏(90)が選ばれた。インド人のプリツカー賞受賞は初めて。

 近代建築の巨匠ル・コルビュジエ(Le Corbusier)の薫陶を受けたドーシ氏は、持続可能な建築、コストを抑えた住宅に傾注。インドの伝統建築にモダニズムを導入し、傑出した作品を生み出してきた。

 プリツカー賞審査委員会は45人目の同賞受賞者となったドーシ氏について、「優れた建築や都市計画とは、機能と構造の調和だけでなく、環境や場所、技術、技能への目配り、そして広い意味でのコンテクスト(文脈)への深い理解も必要だということをいつも教えてくれる」とたたえた。

 ドーシ氏は60年に及ぶキャリアを通じて、人間の必要性や社会・文化的背景を考慮しながら、「持続可能で全体的(ホリスティック)な住環境の同時代的表現」を反映したモダニズムの要素を取り入れた建築スタイルを洗練させた。

 ドーシ氏の仕事には、ベンガルール(Bengaluru、旧称バンガロール)のインド経営大学(IIM)でのプロジェクト、インドール(Indore)のアランヤ・ローコストハウジング地区の設計などがある。(c)AFP/Thomas URBAIN, with Bhuvan BAGGA in New Delhi