【3月8日 AFP】イタリア・セリエAの名門ACミラン(AC Milan)は、深刻な資金難に陥りながらも復調気配にあるが、8日に行われるアーセナル(Arsenal)とのヨーロッパリーグ(UEFA Europa League 2017-18)決勝トーナメント2回戦は、クラブの今後の行く末を占う重要な一戦となる。

 欧州の頂点に通算7度立っているミランは、かつて中盤に君臨したジェンナロ・ガットゥーゾ(Gennaro Gattuso)監督の就任をきっかけに復活を遂げ、公式戦13試合連続無敗を記録し、来季の欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2018-19)出場圏争いが視野に入る位置につけているが、欧州サッカー連盟(UEFA)のファイナンシャル・フェアプレー(FFP)の規定を上回る巨額の返済ローンを抱えている。

 UEFAは中国人オーナーが率いるミランの複雑な財政状況に懸念を示している。昨年4月、中国資本グループは前オーナーのシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)氏から7億4000万ユーロ(約974億円)でミランを買収し、夏には新戦力の獲得に2億ユーロ(約236億円)を費やしたが、その財政の安定性が疑問視されている。

 クラブは米ヘッジファンドのエリオット・マネジメント(Elliott Management)から3億ユーロ(約395億円)を借り入れているが、今年10月までに返済できなければエリオットがクラブを支配することになる。ミランを買収した当時、中国人実業家のリー・ヨンホン(Li Yonghong)氏はすでに破産状態にあったと伝えられたが、リー氏は2月にその報道を否定している。

 ミランはまた、UEFAから制裁を科される危機に直面している。UEFAは昨年12月、「2018年10月に返済されるべき借り換えのローンと、主要株主が提供した財務保証について、依然として不透明な点がある」とし、クラブが提案した財政再建に向けた自主協定を拒絶。ミランの財政状況を数か月以内に再評価するとしており、選手獲得の制限、選手の給与の制限といった制裁を科す可能性がある。