【3月4日 AFP】南米エクアドル沖のガラパゴス諸島(Galapagos Islands)で、岩の影に集まったゾウガメの赤ちゃんたちが、そこから出て行くため日が落ちるのを待っている。

 同諸島のサンタクルス島(Santa Cruz Island)東部に生息するこれらのゾウガメを邪魔するものは何もない。ファウストガメ(学名:Chelonoidis donfaustoi)という種のゾウガメで、2年前に新種として特定されたばかりだ。

 ゾウガメを島内で保護し、飼育しているのはガラパゴス諸島の国立公園に3つある施設のうちの一つ。この国立公園では、世界的にも珍しく12種のゾウガメを飼育している。

 このゾウガメたちを野生に戻すのはまだ早い。甲羅の直径が23~25センチに成長するまで待たなければならず、およそ4~5年を有する。長ければ150年ほど生き、最大で全長2メートル、体重450キロまで成長するゾウガメにとってはわずかな期間だ。

 ゾウガメはおよそ300万~400万年前にガラパゴス諸島にたどり着き、海流によって島々に流されたとみられる。15種に進化し、そのうちの3種は絶滅したが、それぞれが環境に適応した。

 科学界では2002年まで、ガラパゴス諸島で2番目に大きいサンタクルス島に生息するゾウガメは、みな同じサンタクルスゾウガメ(学名:Chelonoidis porteri)だと考えられてきた。しかし、長年にわたる遺伝子解析の結果、2015年に同島東部の「死の丘」と呼ばれる地域に生息するゾウガメは別の種であることが判明し、ファウストガメと命名された。

 ファウストガメは生息数が400頭にも満たないことに加え、捕食者の脅威にもさらされることから、当局は確実に成長させるためにその卵を回収してふ化させ、施設で飼育している。無事に成長したら、巣があった元の場所に戻す計画だ。

 国立公園の生態系ディレクター、ダニー・ルエダ(Danny Rueda)氏によると、ファウストガメには遺伝的かつ形態学的な特徴があり、体がより小さく、甲羅はドーム型という。

 またDNA解析の結果、ファウストガメは遺伝子的にピンタ島(Pinta Island)で発見されたピンタゾウガメと類似していることが判明した。ファウストガメという名は、ピンタゾウガメの最後の1頭「ロンサム・ジョージ(Lonesome George、独りぼっちのジョージ)」の世話をしていたファウスト・ジェレナ(Fausto Llerena)さんにちなんで付けられたもので、ロンサム・ジョージは2012年に死んでいる。

 映像は1月19~22日撮影。(c)AFP/Jordi MIRO