【3月4日 AFP】フランス・リーグ1、パリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)に所属するブラジル代表のネイマール(Neymar da Silva Santos Junior)が3日、リーグ戦で骨折した右足の手術を受けた。手術は無事に成功したことが発表されたものの、復帰時期については6週間の静養後、改めてプレー可能になる時期を判断するとしている。

 ブラジル代表のチームドクターで執刀医のロドリゴ・ラズマール(Rodrigo Lasmar)氏は、1時間15分で終了した手術について「非常にうまくいき、問題はまったくない」とコメント。医師団の話によると、ネイマールは手術後にPSG対トロワ(Troyes AC)の生放送を病室で観戦しており、4日には退院するという。

 2017年夏に史上最高額の移籍金2億2200万ユーロ(約295億円)でスペイン1部リーグのFCバルセロナ(FC Barcelona)からPSGに加入したネイマールは、クラブで公式戦通算30試合に出場し28得点を記録していたが、先月25日に行われたオリンピック・マルセイユ(Olympique de Marseille)戦で、小指へつながる足の甲の骨「第5中足骨」を骨折した。

 PSGはネイマールが練習に復帰できるまでには最低でも6週間かかるとしているが、一方でラズマール氏は、同選手の復帰には少なくとも2か月半、場合によっては3か月を要するとの見解を示している。

 ネイマールが6日に行われるレアル・マドリード(Real Madrid)との欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2017-18)決勝トーナメント1回戦第2戦を欠場するのは間違いないが、ラズマール氏の「3か月」という見立て通りだとすると、6月に始まるW杯ロシア大会(2018 World Cup)の開幕にもギリギリ間に合うかどうかの状況ということになる。

■治療方針めぐりクラブと代表で綱引きか

 ラズマール氏によると、リハビリは「全関係者のまとまりを示すため」、PSGとブラジル代表の両方で働くラファエウ・マルティーノ(Rafael Martino)氏が担当するとしているが、治療方針をめぐっては、PSGとブラジル代表との間で綱引きが行われているという報道が出ている。

 仏レキップ(L'Equipe)紙によると、PSGはネイマールのけがの程度についてラズマール氏が「うそ」をついていると考えていて、長期離脱が必要だという同氏の言葉にショックを受けたという。PSGは「術後のリハビリは、当クラブの理学療法士の監督の下ですぐに開始される。そして6週間後に評価を行い、練習への復帰見込みを決定する」と声明を発表し、リハビリの主導権を主張している。

 しかし、現在ブラジルに滞在しているPSGのチーム医師は手術後、「報道や臆測とは異なり、今回の決断はネイマールとその家族、PSGのスタッフ、医療チーム、フロントと経営陣、そしてブラジルサッカー連盟(CBF)の代表者が完全に納得して下したものだ。いろいろと書かれているようだが、分裂はまったくない」とも話していて、クラブと連盟の関係に問題がないことも強調している。

 前回のブラジルW杯(2014 World Cup)で、ドイツに1-7の大敗を喫して準決勝で姿を消すという屈辱的な結果に終わったブラジル代表は、この数年で劇的に持ち直し、ロシア大会の優勝候補と目されている。しかし、そうした楽観の多くは、ドイツ戦をけがで欠場したネイマールの存在を前提としている。

 ブラジル代表の医療チームの元責任者によると、第5中足骨の骨折は2週間から3週間ほど松葉づえを使って安静にした後、60日から75日後に治療した足に体重をかけながら体を動かすことを始め、それからようやく練習に合流できるけがだという。元責任者は「スポーツマンでまだ若いことを考えると、かなり早く復帰できるのではないだろうか」と話している。

 ネイマールにとってけがの功名と言えるのは、休みを取らざるを得なくなったことが、本人にとって良い方に転ぶ可能性がある点だろう。カンピオナート・ブラジレイロ(ブラジル全国選手権)1部、インテルナシオナウ(Internacional)の理学療法士は、「欧州の過酷なスケジュールを考えれば、彼が精神的にも、肉体的にも、ほかの選手よりフレッシュな状態でW杯に臨める可能性はある」と話している。

 しばらく歩くことはできないネイマールだが、その背にはすでに国民の期待という重荷がかかっている。友人たちと病院を訪れたサッカーファンは「W杯はきょうここで、この手術とともに始まる。現時点では、ラズマールがチームで一番の選手だね」と話していた。(c)AFP/Ana Ines CIBILS