【3月1日 AFP】名画になぞらえ「アフリカのモナリザ(African Mona Lisa)」と呼ばれるナイジェリア王女「ツツ(Tutu)」の肖像画が2月28日、英ロンドンの競売大手ボナムス(Bonhams)でオークションに掛けられ、予想を大きく上回る120万ポンド(約1億8000万円)で落札された。

 この肖像画は、ヨルバ(Yoruba)人の王国イフェ(Ife)の王女「ツツ」ことアデツツ・アデミルイ(Adetutu Ademiluyi)がモデルで、ナイジェリアの美術作家ベン・エンウォンウ(Ben Enwonwu)が1974年に描いた作品。数十年にわたり所在が分からなくなっていたが最近、ロンドン北部のアパートで見つかった。

 ボナムスのアフリカ現代美術担当ディレクター、ジャイルズ・ペッピアット(Giles Peppiatt)氏によると、アパートに住む家族から連絡を受けて鑑定したところ「ナイジェリアを象徴するツツの肖像画で、文化的にも非常に価値の高い」ものだと分かったという。見つかった肖像画が「行方不明の名画」だと知った家族は、「大層びっくり仰天していた」という。

 予想落札額は30万ポンド(約4400万円)で、競売結果はエンウォンウ氏の作品としては史上最高値となった。

 ツツの肖像画について、ナイジェリアの作家で英文学賞ブッカー賞(Man Booker Prize)受賞者のベン・オクリ(Ben Okri)氏はAFPに対し、ナイジェリアでは「アフリカのモナリザ」として神話的な扱いを受けていたと説明。「40年もの間、伝説と化していた。誰もが『ツツはどこ?』と言って話題にしてきた」と語っていた。(c)AFP