■数十億年前の火星には海や湖

 PNASの論文では、微生物群が死滅しているわけではなく、主に深層に生息する単細胞生物群は「何百万年もの間、活動的な群落を形成し、過酷な条件を切り抜けるように進化した」と説明された。

 数十億年前の火星には海や湖があったことから初期の生命体がそこで繁栄していた可能性もあると、研究者らは主張する。

 今回の研究についてシュルツェマクッフ教授は、火星の微生物研究への道を目指す科学者らの一助となる可能性があると話す。火星の微生物は、時代を経るにつれて寒冷化・乾燥化した火星の気候に対応して、アタカマ砂漠の微生物と酷似した進化を遂げたと考えることができる。

「火星の土壌中には凍結した水があることが知られており、また最近の研究では夜間の降雪などの表面付近の湿度上昇につながる現象が起きていることが強く示唆されている」と同教授。「火星上でかつて生命が進化したとすると、その生命体は現在の厳しい超乾燥状態の表面下にある地下の微小生息環境を見つけた可能性があることも考えられる」 (c)AFP