■春は近いようで遠い?

 中国の声優バラエティー番組「声臨其境」は吹き替えがテーマなのに、声優の出演が少ない。なぜだろうか?

 ゲストとして声優が招かれても映る回数が少なく、俳優が出演することが圧倒的に多い。このことが、中国における声優の現状を端的に表しており、声優業界の春の到来はそんなに簡単ではないことがわかる。

 声優の喬詩語(Qiao Shiyu)さんは、「一人前の声優になるためには、少なくとも2000本の作品に出演することが求められる。それだけで3〜5年かかるし、競争率は高い。誰しもが耐えられることではなく、業界は声優不足だ。報酬も安い」と指摘する。

 テレビや映画の制作時間短縮され、作品数が増加するにつれ、声優に求められる要求は高くなっている。かつては1本の映画に1か月かけていたのが、現在は数日間しか与えられない。

 中国の声優にも「スター」は誕生しているが、日本に遠く及ばない。日本の漫画・アニメ産業の発展は早く、裏方とされていた声優も80年代には表舞台に立つようになり、司会や歌手、CM出演など、アイドル化も進んでいる。中国の声優たちも表舞台に立つようになり、多くの人に知ってもらいたいと望んでいる。(c)CNS/JCM/AFPBB News