「恋与制作人」は中国で制作された恋愛シュミレーションゲームで、最近の中国の若者の生き方や暮らし方を表す「仏系」ゲーム「旅かえる」が「息子育成」ゲームと表現されるのに対し、「恋与制作人」は「男育成」ゲームと呼ばれている。この二つのゲームから、ゲーム市場における女性ユーザーの潜在力がうかがえる。

 ところが、春節(旧正月、Lunar New Year)に合わせ、各ゲームメーカーがさまざまなイベントを企画しユーザーを獲得する中、「恋与制作人」は1本の広告が原因で失敗してしまった。

 広告の動画は3部構成で、バスに偶然乗り合わせた女性数人が、ゲームの中のバーチャル美青年をめぐって嫉妬したり言い争ったりする場面から始まる。次に、女子会では、それぞれ彼氏から電話がかかってきたふりをしたり、プレゼントをもらったと自慢したりする中、一人の女性がスマホを取り出し、ゲームの中の男性キャラクターたちからの甘い言葉を自慢する。最後は一日中家に引きこもってばかりの娘に母親が結婚を催促し、娘はゲームの中のキャラクターのプロフィールを彼氏として紹介し、母を安心させる。

 この広告動画が放送されるや、ネット上では批判の嵐が吹き荒れた。動画に描かれるゲームユーザーの女性たちは、公共の場所で騒ぐ「頭の悪いファン」であり、友達とのパーティーで浮いている「独身女」であり、バーチャルの世界にどっぷりと浸かってしまった現実社会の「負け犬」だと──。こうした偏った女性像をユーザーとして広告に登場させたことが、実際のユーザーたちの反感を買った。怒ったユーザーたちはゲームをアンインストールすると抗議し、広告制作側は広告動画の削除を余儀なくされ、謝罪声明を発表する騒ぎに発展した。

 ゲーム市場は、競争が激しい。ユーザーの心をつかむためには、ユーザーへのサービスと、ユーザーの生活の質の向上を目指すべきで、注目を集めるために奇をてらって曲がった価値観を押し付けるなど、利益のために度を越してはならないのだ。(c)東方新報/AFPBB News