――トップレスのトンガ選手(クロスカントリースキー男子)

 リオデジャネイロ五輪の開会式でたくましい肉体を披露し、大会を盛り上げたトンガのピタ・タウファトファ(Pita Taufatofua)は、今大会の開会式でも、氷点下の寒さの中、同じ格好で登場し、とんでもない男だということを強く印象付けた。ココナツオイルを塗り、伝統の巻きスカート「タオバラ」を腰に巻いただけの姿を披露した34歳のマッチョマンは、今回もSNS界隈を大いに沸かせた。出場したクロスカントリースキー男子15キロフリーでは、金メダルの選手から23分遅れではあったものの、114位に入って最下位を免れるというおまけも付いた。そして最後は、閉会式でもオイルを塗った半裸の姿を見せ、もう一度話題をさらった。

――白熱のショーン(スノーボード男子ハーフパイプ)

 スノーボード界のレジェンド、ショーン・ホワイト(Shaun White)は、優勝のかかった勝負の最終試技で会心の演技を披露し、自身3個目の五輪金メダル獲得を果たした。平野歩夢(Ayumu Hirano)に追い詰められたホワイトは、それでも最終ランで難度の高い技に挑み、不格好な転倒と紙一重のところで次々に技を成功させた。点数が表示されるとボードを放り投げて心の底からの喜びをあらわにし、メダルを逃した前回のソチ冬季五輪の悪夢をついに振り払った。

――衣装の異常(フィギュアスケート・アイスダンス)

 金メダル獲得も期待されていたフランスのガブリエラ・パパダキス(Gabriella Papadakis)は、ギヨーム・シゼロン(Guillaume Cizeron)と組んだアイスダンスで優勝を逃したが、涙を流した理由は衣装がはだける恥ずかしさを味わったからだった。アクシデントはショートダンス(SD)の序盤で起こり、パパダキスが体をそらせた際にシゼロンの指が衣装に引っかかり、少しの間胸があらわになってしまった。二人はその後も気丈に演技を続けたが、パパダキスは涙を流しながら氷を降りることに。それでもペアはカナダに次ぐ銀メダルを獲得した。

――シフリンに寒気(アルペンスキー女子)

 米国のアルペンスキーのスター、ミカエラ・シフリン(Mikaela Shiffrin)は、金メダルラッシュを目指した今大会で、最初の大回転では幸先良く優勝を果たしたものの、すぐに壁にぶつかった。連覇がかかっていた回転では、体調を崩してスタートゲートのそばで嘔吐(おうと)。4位にとどまってメダルも逃してしまった。それでもシフリンは複合では立ち直って銀メダルを獲得と、悪くない成績で大会を終え、高まっていた期待は裏切らなかった。

――スパイスの利いたニンニク少女(カーリング女子)

 今大会のカーリング女子では、一見普通の5人の女性たちが金メダルのかかる決勝まで勝ち進み、地元韓国のファンの間で予想外の人気を集めた。それぞれ「パンケーキ」、「ヨーグルト」、「ステーキ」、「クッキー」、「サニー」というニックネームを持つチームは、韓国人にとってはミステリアスな伝統競技で躍進を果たし、国内でカーリングフィーバーを巻き起こした。故郷でニンニク畑を手伝っているという話から「ニンニク少女」という愛称が付いたチームは、最後はスウェーデンに歯が立たず、派手に散る形となったが、銀メダルを獲得した。

――ビリでも負けじゃない(クロスカントリースキー男子15キロフリー)

 15キロの過酷なレースに臨むクロスカントリーで、メキシコのヘルマン・マドラソ(German Madrazo)は最下位でレースを終えたが、満面の笑みを浮かべ、メキシコ国旗を誇らしく握りしめながらフィニッシュラインをゆっくり越えた。そしてそこで、裸のトンガ人として有名になったピタ・タウファトファらに迎えられると、彼らに肩車をされ、手にした国旗を高く振った。観客から歓声を浴びるその姿は、まるで優勝したかのようだった。(c)AFP