■迫るモンスーンの脅威

 国連によると、昨年11月23日にロヒンギャの帰還に関する取り決めが合意に至って以降、7万人近いロヒンギャがさまざまな経路でバングラデシュのコックスバザール(Cox's Bazar)地区付近に到着している。コックスバザール県の主要な難民キャンプがあるテクナフ(Teknaf)町の警察署長はAFPの取材に対し「最近到着した人々は、拷問を受けたと話している」と語った。

 ラカイン州にある3か所の主要なイスラム教徒居住区にとどまっているロヒンギャは、一部地域では状況が改善したが、がらんとした村々での生活は耐えがたいと語る。

 マウンドー(Maungdaw)出身のあるロヒンギャは、物を買ったり売ったりすることは不可能な上、恐ろしくて当局へは不満を言えないと話した。

 バングラデシュで国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」のコーディネーターを務めるケイト・ノラン(Kate Nolan)氏によると「新たに到着した難民たちは、放置されている場合が多いこうした村々では、自宅にいても不安で、脅かされたり嫌がらせを受けたりしているように感じると話している」という。

 一方、過密状態となっているバングラデシュの難民キャンプでは、命を脅かす疾病のリスクが依然として深刻だと複数の支援団体が指摘している。こうしたキャンプでは大半の難民が、薄い防水布と竹だけでできた小屋で生活している。

 4月にはサイクロンの季節が到来し、新たな脅威も見え隠れする。バングラデシュの難民救援帰還委員会のモハマド・アブル・カラム(Mohammad Abul Kalam)委員長は、前途に課題が横たわっていることを認め、当局はモンスーンが到来する前に難民キャンプから「20万人の避難民を移動」させなければならないと指摘した。(c)AFP/Suzauddin Rubel in Cox's Bazar and Shafiqul Alam in Dhaka