【2月26日 AFP】中東エルサレムのキリスト教指導者らは25日、イスラエル政府による税制措置と、現在提出されている財産法案に抗議し、イエス・キリスト(Jesus Christ)の遺体が埋葬されたと言い伝えられている同市旧市街の聖墳墓教会(Church of the Holy Sepulchre)を閉鎖するという異例の措置を発表した。閉鎖期間は不明。

 キリストがはりつけにされて埋葬された後、復活したと信じられている場所に建造されている同教会は、キリスト教の最高の聖地とみなされ、重要な巡礼地の一つとなっている。

 教会の大きな木製の扉の前に、ギリシャ正教会、アルメニア使徒教会、カトリック教会の指導者らが集まり、「われわれは抗議の手段として、聖墳墓教会の閉鎖という異例の措置に踏み切る決断を下した」とする声明を読み上げた。同教会の閉鎖決定は極めてまれ。

 キリスト教指導者らは、エルサレムのイスラエル当局がキリスト教会を商業目的とみなし、非課税と定められているのは礼拝や宗教教育の場のみだと主張して課税対象にしようとする動きに怒りを募らせている。

 加えて、イスラエル政府が現在審議している法案が、教会財産の没収につながりかねないという懸念も広がっている。

 この閉鎖措置を受けてイスラエルの閣僚委員会は、同法案に関わる活動を1週間先送りする方針を示した。

 閉鎖された教会の扉の前には、困惑した観光客らが立ち尽くし、ツアーガイドらが閉鎖の説明を求める姿も見られた。また入り口付近に作業員らが金属製の柵を設置する傍らで、ひざまずいて祈りをささげる男性もいた。(c)AFP/Shatha Yaish