■イスラム過激派との戦いの最前線

 この日の会合にはフランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領やドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相を含む32人の首脳が出席。21日に西アフリカで地雷の爆発により死亡した仏テロ部隊の兵士2人に1分間の黙とうをささげた。

 2人の死は過激派の攻撃が増えているサヘル5か国の課題を浮き彫りにした。5か国は世界有数の低所得国でイスラム過激派との戦いの最前線になっている。欧州各国は資金を出して5か国の治安や経済を改善することで、より良い生活を求めて地中海を渡る移民の流れを抑制し、イスラム過激派がサヘル地域を拠点にして欧米に仕掛ける攻撃の防止につながると期待している。

 サヘル5か国は自ら動員した5000人規模の合同軍兵士を訓練し、装備を整えて治安が悪化した地域をパトロールさせ、無法地帯の支配権回復を図る。過激派との戦闘に加え、サハラ周辺の広大な遠隔地で組織的に行われている人身売買や不法移民の密航あっせんの撲滅も目指す。

 合同軍はこれまでに司令部を設置して指揮系統を確立し、マリ、ニジェール、ブルキナファソの3か国が国境を接する情勢不安地域でフランスの支援を受けて2度の作戦を実施した。今年半ばに完全に態勢を整え、域内に展開する4000人規模のフランス軍部隊と共に活動する方針。国連(UN)平和維持活動(PKO)の国連マリ多次元統合安定化派遣団(MINUSMA、約1万2000人)とも連携する。

 EUのフェデリカ・モゲリーニ(Federica Mogherini)外交安全保障上級代表(EU外相)によると、これまでに国際社会がサヘル5か国合同軍のために拠出を表明したのは総額で4億1400万ユーロ(約544億円)に上るが、現時点で実際に拠出されたのは5000万ユーロ(約66億円)にとどまっている。

 拠出額が最も多いのはサウジアラビアで1億ユーロ(約130億円)。アラブ首長国連邦(UAE)は3000万ユーロ(約40億円)、米国は6000万ドル(約64億円)となっている。(c)AFP/Damon Wake and Jerome Rivet