【2月23日 AFP】選手が肘やスティックを使いながら激しく先頭をめぐる攻防を繰り広げ、ジャンプ台がちりばめられた難コースを滑走するスキークロスはスリルに尽きない。

 だが、平昌冬季五輪では恐ろしいクラッシュが3度も起き、このエキサイティングな競技の危険性が際立った。

 2010年のバンクーバー冬季五輪で初採用されたスキークロスでは、4人の選手が同時にスタートし、自然の地形と鋭いターンやジャンプ台などの人工的につくられた障害が配置された、曲がりくねったコースを滑走する。このコースによって、息をのむような究極のレースが展開される。

 男子はブレイディー・リーマン(Brady Leman)が、女子はケルシー・セルワ(Kelsey Serwa)が金メダルに輝き、カナダ勢が表彰台の中央を独占した。

 しかし、同胞のクリストファー・デルボスコ(Christopher Delbosco)とインディア・シェレット(India Sherret)が身の毛もよだつようなクラッシュを起こし、両選手の金メダルに水を差した。

 デルボスコは骨盤に加え、肋骨を4か所折って肺を損傷し、シェレットはジャンプの着地に失敗して担架で運ばれた。カナダオリンピック委員会(COC)はシェレットについて、「彼女は病院に運ばれ、そこで検査を受けている。容体は安定している」と発表するにとどまっている。

 また、フランスのテレンス・チクナヴォリアン(Terence Tchiknavorian)は、脛骨(けいこつ)を折り手術を受けた。リーマンは、自身もライバルもクラッシュが起きた瞬間に何が起きたかを理解したと話している。

「転倒があるとみんな分かる。トップにいる理由を理解する。そのことを問うことなどしない。集中し続けるだけなんだ」

「大会運営は安全なコースにしようと懸命に働いてくれた。しかし、この競技には多くのリスクが潜んでいる。特に五輪では選手がいつも以上にリスクを冒す」

 英国のエミリー・サースフィールド(Emily Sarsfield)は、滑るたびに恐怖を感じたと認めている。「それが本質的な部分です。スキークロスのトラックを滑るときはいつも怖い。もしそうでなければ人間ではありません」

「選手はエアバッグを着用し始めることになるでしょう。今はスキークロスのコースはとても大きくつくられています。そのいくつかは人間にできる範囲を超えているんです」 (c)AFP/Luke PHILLIPS