■一種の非常事態

 もっとも、カフートではその必要はない。会社の共同創業者であるアズムント・フルセト(Asmund Furuseth)さんは、「ノルウェーの学校では、特に人気競技をクラスのみんなで観戦するのが当たり前なんです。だから社会人になっても、仕事をしながら五輪を見るのはおかしなことじゃない。ノルウェー人は、平日でもそうやって優先順位を付けるのが得意なんです」と話している。

 冬季五輪期間中は、国内が「一種の非常事態」に入ると話すのは、労働組合で副会長を務めるヴェガール・アイナン(Vegard Einan)さんだ。副会長は「リレーにスピードスケート、スキージャンプ、滑降。競技の決着を見届けるためなら、電話に出なくても基本的には許される」と説明する。

 さらに副会長は「五輪を見れば社員の満足度は上がるし、満足度が上がれば仕事場での生産性も増す」と話し、仕事に悪影響が出ることはまったくないと強調する。

 五輪に情熱を燃やすのは従業員も経営者も同じ。ノルウェー企業連合(NHO)のニーナ・メルソム(Nina Melsom)さんは「私の経験から言えば、各企業は五輪のメインイベントを観戦しつつ、生産性を落とさない方法を見つけ、うまくやっていると思います」と請け合う。