■キャンプの「姉妹たち」

 ミャンマー西部ラカイン(Rakhine)州からの難民の半数以上は、女性や子どもたちだ。国連組織「UNウィメン(UN Women)」によると、バルカリ(Balukhali)難民キャンプの女性や少女らほぼ全員が、自らが性的暴行の被害を受けていたり、家族や友人に対する性的暴行、殺人、火あぶりなどを目撃したりしているとされ、その状況は想像を絶する。

 夫と息子を虐殺されたマビヤ・カトゥンさんは、ウィドーキャンプでの「姉妹」同士の連帯を慈しんでいる。彼女はAFPの取材に「ここで大切にされる生活、まともな生活ができるようになった」と語った。

 バングラデシュとミャンマーは、自主的に難民約75万人をラカインに帰還させる2年間の予定期限について合意したが、そのプロセスは難航している。

 ウィドーキャンプに住む一部の女性の中には、帰還を希望する人もいる。ラカインで夫と子どもたちを殺されたクシダ・ベーガムさん(30)は、バングラデシュでの暮らしがどんなに快適でも、祖先代々の土地に代わることはできないと語った。「ここに来たのは虐待と殺人、放火があったから。起きたことへの裁きが成されたときには戻りたい」

 一方、女性らの苦悩に心を寄せる人々がいるバングラデシュで、新たに人生を立て直すことを希望する人もいる。

 夫と息子を失ったマビヤさんは「私は戻らない。戻る先がない。家も、夫も、子どもも、何もない」と語り、「ここには少なくとも家族に似たものがある」と続けた。(c)AFP/Annie BANERJI and Redwan AHMED