■結婚は「無理難題」と言う男性たち

 内戦によって猛烈なインフレがもたらされ、失業がまん延。経済的損失は推計2250億ドル(約24兆円)以上にも上る。そういったことを考えると、ダマスカスに住む男性、フィラスさん(37)は結婚をためらう。

 首都のバブトゥーマ(Bab Touma)地区にある洗濯機の修理店で働く彼は「生活費は上がっているし、他にも色々な経済的な要因のせいで、結婚は無理難題も同然になっている」と語る。「将来の計画なんて立てられないし想像すらできない。毎日を生き延びるのがやっとで、明日生きているかどうかだって神様にしか分からない」

「こんな状況で結婚するやつはおかしいよ。安全で人間らしい生活を自分自身にすら保証できないのに、どうしたら妻や子どもたちに保証できるんだ?」

 近くの地区で暮らす男子医学生のムンツァー・カラスさん(26)は寝室の壁に大きなカレンダーを掛け、大切な日付に赤丸を付けている──海外留学を目指すための奨学金の応募期限だ。

 カラスさんは「結婚なんて全く考えていない。結婚するには安定が必要だから。僕は兄弟を追ってドイツに行くことにしたんだ」「妻よりも飛行機のチケットを探さなくちゃ」と語った。(c)AFP/Maher al-Mounes