【2月20日 AFP】厳しい条件をクリアして平昌冬季五輪に出場したOAR(ロシアからの五輪選手)のアレクサンドル・クルシェルニツキー(Alexander Krushelnitsky)が、19日にドーピング疑惑が報道されたことを受け、検査プログラムや組織的なドーピングを行ったロシア選手を参加させた動きに対する疑問の声が上がっている。

 妻のアナスタシア・ブリズガロワ(Anastasia Bryzgalova)とカーリングの混合ダブルスに出場して銅メダルを獲得したクルシェルニツキーは、スポーツ仲裁裁判所(CAS)の反ドーピング支部で審議の対象になった。

 国際オリンピック委員会(IOC)は、ロシアの資格停止処分を解除して25日に行われる平昌五輪の閉会式で国旗の使用を認めるかを今週中に判断する予定となっており、この問題は波紋を広げていく可能性がある。

 クルシェルニツキーは数か月にわたり検査プログラムを受け、「クリーン」な選手として出場が認められた168人の一人だった。しかし、A検体とB検体の両方が陽性反応を示した場合、CASは同選手に違反があれば何らかの制裁を科す可能性について結論を下すことになるが、具体的なヒアリングの日程は決まっていない。

 関係者の話によると、違反の可能性があるのは持久力と回復力を増幅させるメルドニウム(Meldonium)で、2016年には女子テニスのマリア・シャラポワ(Maria Sharapova、ロシア)がこの薬物に陽性反応を示して15か月間の出場停止処分を受けた。

 ロシアカーリング連盟(Russian Curling Federation)のドミトリー・スビシェフ(Dmitry Svishchev)会長は、同国テレビ局の360TVに対し、クルシェルニツキーの疑惑について「挑発行為であり、破壊活動だ」とすると、「2015年から始めたキャリアのなかで、彼は合計11個の検体を提出してすべてが陰性だった。五輪前に(禁止されている)薬を摂取することを考えるなんて、その結果がどうなるかは想像できるだろう?」と一蹴した。

 ロシアの女子カーリングチームでコーチを務めるセルゲイ・ベラノフ(Sergei Belanov)氏も、穏やかな氷上スポーツで運動能力向上薬を使用することはほとんど意味がないと主張し、「若い選手が、この2年間騒がれているのと同じ薬を選択して使用するリスクを犯すなどあり得ない。それは愚かな行為であり、アレクサンドルは愚かな人間ではない」と話した。

 閉会式前にロシアへの資格停止処分を解除するかどうかを今週中に話し合う予定になっているIOCは、ロシアにとって「なんらかの結論」が出る可能性があるとしており、IOCの広報担当マーク・アダムズ(Mark Adams)氏は、閉会式でロシア国旗の使用を認めるか問われると、委員会が「(昨年12月に)裁定された文書と精神」に従うかどうか精査すると明かし、「なんらかの結論が出るのは当然だ」と述べた。(c)AFP/Talek HARRIS/Jim SLATER