■自動引き落としによる寄付停止依頼が急増

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)フランス支部のベネディクト・ジャヌロ(Benedicte Jeannerod)代表は、オックスファムのスキャンダルは「活動資金を一般人からの寄付に頼っているすべての団体の信用を傷つけかねない」との懸念を示した。

 オックスファムの広報担当者は、今月9~12日の間に英国内での自動引き落としによる寄付の停止依頼が通常の600件から1300件に急増したことを明らかにしている。オックスファムには昨年、英政府から3200万ポンド(約48億円)近い助成金が支払われているが、国際開発省は同団体との関係を再検討していることを発表した。

 一方、各慈善団体は直ちに、自分の団体はオックスファムとは違うという意思表示を行った。

 子ども支援を専門とする英国のNGO「セーブ・ザ・チルドレン(Save the Children)」は11日、「いかなる虐待、ハラスメントも絶対に容認しない方針」を取っていると発表し、同団体内部でセクハラを行った疑いがある職員16人を解雇し、10人について警察などの機関に問い合わせたと述べた。また、子どもを相手にした性的虐待が行われていたとする一部報道を強く否定した。

 英ロンドンにあるオックスファムの運営本部は、今回のスキャンダルを隠蔽(いんぺい)し、虐待を行っていた元職員が退職して別の慈善団体に就職する際に雇用主に警告しなかったとして批判を受けている。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)フランス支部のシルビー・ブリゴー・ビラン(Sylvie Brigot Vilain)代表は、「(職員が虐待を行っていたと)知らされた場合に適切な行動を取り、処罰を受けさせることは、雇用主としての私たちの道徳的義務であり、責任だ」と述べている。(c)AFP/Claire DOYEN