【2月11日 AFP】平昌冬季五輪で10日、アイスホッケー女子の韓国と北朝鮮代表の南北合同チームがスイスとの初戦に臨んだ。合同チームは0-8の大敗を喫したが、試合結果は北朝鮮の要人が観戦したという政治的象徴性と比べればそれほど重要ではなかった。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の妹で、北朝鮮の権力を握る金一族として1950~53年の朝鮮戦争後初めて韓国を訪問し、同日試合前に行われた韓国大統領との会談で訪朝要請を伝えていた金与正(キム・ヨジョン、Kim Yo-Jong)党中央委員会第1副部長は、毛皮の襟が付いた黒のコートを着て試合会場に姿を現した。

 合同チームを応援する北朝鮮の「美女軍団」を乗せたバスが厳しい警備のなか会場に近づくと数十人が歓声を上げた。北朝鮮の平昌冬季五輪参加をめぐり韓国ではここ数日、国旗を燃やすなどの抗議行動が行われていたが、アイスホッケーの試合前にそのような動きは見られなかった。

 北朝鮮の形式的な国家元首、金永南(キム・ヨンナム、Kim Yong-Nam)最高人民会議常任委員長と国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長、そして韓国の文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)大統領も金与正氏と一緒に観戦した。

 試合前半、北朝鮮の選手がゴールを決めそうになった際に金与正氏が両手で口をふさぐ場面も見られた。

 南北合同チームの感動的な五輪デビュー戦に、「美女軍団」も歌を歌うなどして客席から声援を送った。200人の女性たちは昔懐かしい歌を歌って3600人の観客を魅了し、メキシカン・ウェーブまで起こした。

 会場の外では多くの地元の人たちが胸に「コリア」と書かれた南北合同チームのジャージーを身に着け、薄い青色で朝鮮半島が描かれた小さな統一旗を振っていた。

 試合後、金与正氏は文大統領ら他の要人らと共にリンクに近づいて合同チームの健闘に拍手し、選手たちと一緒に写真撮影を行った。選手たちは文大統領と握手したが、金与正氏は手を差し伸べなかった。

「美女軍団」は試合会場から他の観客らがいなくなった後もかなり遅くまで声援を送っていた。(c)AFP/Alastair HIMMER